GUIDE · 犯収法
証券口座乗っ取りの手口と、本人確認・モニタリングが止められる地点
「自分の証券口座で、知らない株が買われていた」。2026年に入り、こうした証券口座の乗っ取り被害が急増していると報じられています。フィッシングから仕手株の不正売買までの手口と、本人確認・取引モニタリングがどこで検知できるのかを図解で整理します。
最終更新:2026-09-26
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証券口座の乗っ取り被害が急増していると報じられています。闇バイトとして自分名義の証券口座を提供した人物が摘発された事例も伝えられており、乗っ取り側だけでなく「口座を貸す側」も問われる構造です。
フィッシングでログイン情報を盗み、不正ログイン後に通知設定を変更して被害者が気づくまでの空白時間を作り、仕込んでおいた仕手株を乗っ取った口座に大量に買わせて株価を吊り上げ、売り抜けます。
資金を直接引き出さないため送金時の本人確認では検知できません。取引モニタリングでの異常な売買パターンの検知、多要素認証、取引通知の確認が主な検知・防御の地点になります。
図解で見る
図解①
図解②
送金を伴わないという厄介さ
従来のマネー・ローンダリング対策は銀行口座や暗号資産の資金移動に重点が置かれてきました。証券口座乗っ取りは、株式の売買注文を出すだけで第三者に利益を移転できるため、送金という行為そのものが発生しません。送金時の本人確認や取引時確認の枠組みだけでは、この手口を捉えにくいという課題があります。
証券会社側の対応
多要素認証の導入・強化、ログイン時のデバイス認証の厳格化、一定額以上の取引への追加認証、不自然な取引パターンの検知システム強化が進められていると報じられています。ただし対応のスピードには証券会社ごとに差があり、銀行の不正送金被害のような統一的な補償ルールは証券分野にはまだ存在しないとされています。
混同しやすい語との違い
| 非対面取引の本人確認 | 本人確認は口座を開設する「入口」を守る仕組みです。証券口座乗っ取りは開設後のログイン認証が破られる場面の話で、対象になる場面が異なります。 |
|---|---|
| 口座売買・不正口座 | 口座売買は名義人自身が口座を第三者に譲り渡す行為です。証券口座乗っ取りは名義人の同意なく第三者が口座を操作する行為で、行為の主体が逆になります。 |
| 顧客リスク評価(リスク格付け) | 顧客リスク評価は顧客本人が持つ属性のリスクを測る仕組みです。乗っ取りは低リスクと評価された顧客の口座でも起こりうるため、格付けだけでは防ぎきれません。 |
実務ではここで迷う
送金を伴わない不正な資金移転をどこまで取引モニタリングのシナリオに組み込むか、証券会社ごとの補償方針の差にどう向き合うかは、実務でまだ答えの定まっていない悩みどころです。多要素認証や取引通知といった利用者側の防御をどこまで周知・徹底できるかも課題になります。
証券口座乗っ取りの手口を読む(noteの記事)→ →関連する用語・ツール
FAQ
よくある質問
なぜ送金を伴わない不正が本人確認をすり抜けるのですか?
本人確認は主に口座開設時や送金時の確認に重点が置かれてきたため、乗っ取った口座内で株式を売買するだけの手口は、その確認の対象になりにくいためです。
低リスクと評価された顧客でも被害に遭いますか?
遭いえます。顧客リスク評価は顧客本人の属性のリスクを測るもので、別人が顧客になりすます乗っ取りのリスクとは着眼点が異なるためです。
証券口座の乗っ取りはどこで検知されますか?
主に取引モニタリングによる異常な売買パターンの検知が中心になっており、多要素認証や取引通知といった利用者側の防御とあわせて対策が進められています。
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